*ビビッドDAYS!*


彼の固い表情を緩ませたくて、ガラにもなく手作りのお菓子を持っていったり、

面白かったテレビ番組の話をしたり、お笑い芸人のネタを実演してみたり。


さまざまな手法を用いて彼を笑わせようと画策している。



絵の話を出すと機嫌が悪くなるのは相変わらずなのでそれ関連のことは伏せ、

モデルのお願いもしばらく口にしていない。


そんなわたしを見てアキちゃんは「完璧にファンだわね」という感想を漏らした。


ファンか……。そうかもしれないな。


うじ君が少しずつ笑顔を見せてくれるようになると、わたしはそれだけで満足してしまい、

デッサンのことなんかすっかり忘れてしまうのだ。



だから、アキちゃんや信号機が課題を進めていく中、未だにわたしだけ未着手状態だった。


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