*ビビッドDAYS!*
廊下は程よく賑わっていた。
そのせいなのか、それともうじ君の存在感が薄いせいか、
アキちゃんたちは近づいてくる彼に気付いた様子もなくどんどん歩みを進めていく。
一方わたしはといえば、彼に気付いてしまった以上、無視はできない。
近くまで来ると、うじ君が「あ」というふうに小さく口を開いた。
それに被せるように、わたしは「やぴー」と笑顔を作って手を振る。
いつもならここで立ち止まって世間話でもするところだけど、
わたしは立ち止まらずにそのまま通りすぎた。
振り返ってその顔を見つめたかったけれど、手をきつく握り締めて堪えた。
ここが踏ん張りどきだ。