*ビビッドDAYS!*
「やあ、志摩ちゃん」
さっぱりとした笑みを投げられ、アキちゃんがわたしの後ろに奇声を上げながら逃げ込む。
身長150センチの後ろに全長170センチが隠れられるはずもないというのに、なんたる恥かしがり屋さん。
そんなアキちゃんが後ろにいても気にすることなく王子は近寄ってくる。
「志摩ちゃんさ、デッサンのモチーフが決まらないんだって?」
「おい、俺の志摩に近づくんじゃ――」
ずいと身を乗り出そうとした信号機をアキちゃんが後ろから羽交い絞めにする。
彼女は問答無用で王子の味方だ。
「そう、いいモチーフになかなかめぐりあわなくて。ていうかなぜに知っている?」
わたしが問うと、王子は白い歯を輝かせた。