*ビビッドDAYS!*
「うわ」
うわ?
廊下を歩いて声を掛けられることはあれども、こんなふうに引かれるのは初めてだ。
それでもめげずに彼の目をまっすぐ見上げる。
「ねえ、うじ君、モデルの件考えてくれた?」
わたしの呼びかけに、彼の薄い眉がぴくりと反応する。
「うじ君?」
「ゆ『う』き、れい『じ』ろうだから。苗字と名前の真ん中を取ってみた」
「……」
「あ、ひょっとして幼虫的なものを想像しているでしょう? うじっていうのは『宇治』の方をイメージしてるからね。京都だよ、古き良き和のイメージだよ」
「……」