*ビビッドDAYS!*

 


基本的に結城くんは言葉を返さない。

私が10回話しかけてようやく1回返事をくれる程度だ。


わたしは多分、いや、絶対、怖がられている。
 

傍らの購買ではおばちゃんが見るともなしにこちらを窺っていた。

結城くんは買い物の途中だったらしく、おばちゃんから品物を受け取ると、ポケットから千円札を取り出す。



「あ、ニョッキリの明太子味だ」
 


その手元を見て、わたしは思わず声を上げてしまった。

基本的に思ったことはすぐ口に出す性格だけれど、彼の前では緊張のせいかさらに饒舌になってしまう。



「それ美味しいよね。わたしも明太子味、大好き」
 

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