*ビビッドDAYS!*
生徒達が帰宅した放課後のアトリエには、テレピン油のにおいが充満している。
油絵に使う溶液の、少し古めかしいようなにおい。
決して嫌いじゃないけれど、明太子味には若干合わない。
いつもの窓際で、外を眺めながら竹串みたいなニョッキリをパキリとかじった。
オペラグラスから覗く世界はいつだって輝いて見える。
「志摩、モデルの件はどうなったのよ」
果物のレプリカを机に配置しているアキちゃんに尋ねられ、
「まだ、返事もらってない」
そう返してから、わたしはレンズに目を凝らした。