*ビビッドDAYS!*
指し示された教室のドア付近には、肩にマントを羽織った真っ白い人物がいた。
それは長テーブルに置かれた胸像で、アトリエにいくつもある石膏像のうちの1つ、聖ジョルジュ。
いつも厳格な顔でわたしたちを見下ろしている彼は今日、雰囲気が少し違った。
モデルが古代ローマ人らしく、さすがに彫りの深い顔立ちで、その眉は少し歪み、角度によってはひどく不機嫌な顔に見える。
肩に巻いたマントは胸の前で束ねられ、短い頭髪はぐるぐるとうねりクセの強さをうかがわせていた。
そして頭のてっぺんに愛らしく伸びたウサギの耳。
「ん……?」
遠くを見る目で、アキちゃんが首を傾げる。
ジョルジュの頭には真っ白でふっさふっさのウサギ耳が付いていた。