*ビビッドDAYS!*
意地とか建前とか、余計なものをすべて取り払ってしまえば、
わたしはただ、彼と仲良くなりたいだけだった。
どういうわけか、それを素直に口にすることはできないけれど。
「ねえ待って」
廊下を走りながら彼のシャツを掴むと、結城くんはゆっくりと足を止めた。
すれ違う生徒達が「志摩ちゃん」と声を掛けてくるけれど、わたしは彼しか目に入らない。
人から注目されることに慣れているわたしと違い、結城君はとても居心地悪そうに辺りを見回した。
そして少し迷惑げな顔で振り返る。