Dear:大切な君へ。
「じゃーん!人生初の坊主です!!どう?似合ってる?」
ニット帽の下、夕美の長かった髪の毛は刈られてほぼなくなっていた。
その姿に、俺はなんて言っていいのかわからなくなる。
「薬の副作用でね、髪抜けちゃうんだって。だからもうこの際坊主にしちゃった!」
“副作用”
その言葉が、ずっしりと胸にのしかかる。
「・・・・・健ちゃん、笑って?」
夕美は俺の頬に手を伸ばして言う。
泣くな。
「は・・・・・ははっ、夕美は坊主でも、かわいい、ぞ・・・・・っ」
泣くな。
「うん。ありがとう」