Dear:大切な君へ。
その時、
「すいませーん、このクラスに安部君と高木くんいますか?」
教室の入り口から聞こえた声に、ドクン、と心臓が大きく鳴った。
昨日少しだけしか聞いていないのに、耳はちゃんと覚えている。
ゆっくりと声の方に顔を向けると、予想していた人物の姿が。
「あ、いた!!」
バスケ部のマネージャー――――――鈴村夕美(スズムラユウミ)は、俺と蒼佑に気が付くと、ニコリと笑った。
「どうしたの・・・・・鈴村さん」
なるべく平静を装いながら、それでも何て呼べばいいのかわからずに口にした呼び方は、名字という堅苦しい呼び方だった。
そんな俺に鈴村さんは笑って、
「鈴村さんって(笑)同級生なんだから夕美でいいよ」
と言った。