Dear:大切な君へ。

その後も俺は毎週日曜日、夕美のお見舞いへと足を運んだ。




夕美は薬の副作用で髪は完全に無くなった。




そして、その副作用のせいで起こる吐き気。




最初は俺の目の前で吐くのを我慢しようとしていたが、日に日に酷くなっていった。




どんどんと、夕美がやせ細っていく。




そして、夕美が闘病生活を始めて2ヶ月。




季節は秋になり、だんだんと寒さも増してきた。




そんなある日。




「健ちゃん、私の腕、なくなっちゃうかも・・・・・」




ボーっと天井を見つめながら、夕美が呟く。




「切断・・・・・したほうがいいかもしれないって、言われちゃった」




「・・・・・」




「切断した方が、助かる確率が上がるんだって」




「・・・・・そっか」




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