Dear:大切な君へ。
ドアの方を振り返ると、そこには夕美の両親が立っていた。
「ちょっと、話できるかしら」
「・・・・・はい」
俺は静かに椅子から立ち上がり、二人の後をついて行った。
「あの子ね、腕切断することになったの」
たった今、夕美から聞いたことと同じことを夕美の母親が言う。
「今切断しないままだと、助かる確率はすごく低くて・・・・・切断したとしても、完治するかどうかはわからないの」
「え・・・・・?治らない、ってことですか?」
「切断しても再発しないとは限らない。だけど、僕たちは少しでも治る確率が上がるなら・・・・・その可能性が1%だったとしても、その1%に縋り付きたいんだ」
今度は夕美の父親が説明する。