Dear:大切な君へ。

「健ちゃん、ちょっとそこのペン取って」




「はいはい」




手術から数ヶ月後、夕美は片方の腕は肩から下にかけて無くなった。




だけど症状がよくなってきているのか、以前より顔色のいい夕美がそこにはいた。




「今度ね、外出許可が出たの」




手帳の日付に、グルグルと印をつける夕美。




その印がつけられたのは、クリスマスの日だった。





「え、ほんとか?」




「うん。だから少しだけ、部活にも顔出そうかな。バスケ部やみんなにも会いたいし」




夕美は嬉しそうに笑いながら話す。



< 166 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop