Dear:大切な君へ。
限られた時間
だけど、外出を一週間前に控えたある日。
「・・・・・え?・・・・・転移?」
再び夕美の両親に呼び出された俺は、信じたくない言葉を耳にする。
「肺に転移していたそうで・・・・・。余命1か月だそうだ」
その言葉に、何もかもが夢のように感じる。
眉間にしわを寄せ涙を堪えながら言う夕美の父親の言葉も、その隣で今にも泣き崩れそうな夕美の母親も、そんな俺らを傍らにあわただしく通り過ぎていく看護師たちも・・・・・。
何もかもが、夢であればと願う。
「前から違和感は感じてたようなんだが、外出が楽しみで言わなかったらしい。気づいた時にはもう・・・・・!」
夕美の父親は、悔しそうに唇をかみしめる。
「・・・・・そう、ですか。夕美は、今病室ですか?」
「あぁ。眠っていると思う」
その言葉を聞いて、俺は夕美のところへとゆっくり歩き出す。