Dear:大切な君へ。
エピローグ
「こらー、夕奈。走ると危ないわよー」
「マーマー、パーパー。早く早く!」
俺は今、夕美の墓参りに来ている。
─────かなと、そして娘と。
俺のことをずっと傍で支えてくれてたかなと、大学を卒業するとき付き合い始めた。
そして、一昨年の三月に結婚。
去年の一月に、娘が生まれた。
「夕奈、おいで」
そう声をかけると、嬉しそうに戻ってきて俺とかなの間に入り、手をつなぐ。
するとその時、
「あっ、」
そう言って、夕奈が再び走り出す。
「あ、ちょっとゆう、」
「お姉ちゃん!」
夕奈が、一つの墓を指さして言う。
その墓は、夕美の墓で。
「あのね、ずーっと見守ってるよって言ってる!」
「っ………」
──────もし、俺よりも素敵な人が現れなかったら、俺らのことをずっと見守っていてください。