Dear:大切な君へ。
大きく揺れる体。
傾く先には、階段。
「っ夕美!」
咄嗟の判断で腕を掴んだ。
そして、そのままぐいっと引き寄せたとき。
「っ、痛い!!」
悲鳴にも近いような声で夕美が叫んだ。
「あ、え、わりぃ」
落ないように夕美の体制を整えると、パッと手を離した。
すると、すぐにハッとした表情になり、
「ごめん!ちょっとびっくりしちゃって。助けてくれてありがと!」
そう言って少しだけ笑うと小走りで教室の方へと走っていった。