Dear:大切な君へ。
「あら、ぐっすり寝ちゃって」
ベッドで横になって眠る夕美を見て、夕美の母は少しだけ目を開いて驚き、だけど少しだけ安心したような表情になった。
「こんな怪我してきて、何も言わないし夜も寝れてないようだったから心配だったけど………すこしは安心してよさそうね。健斗くん、ありがとう」
そう言って夕美の母は微笑んだ。
「いえ、俺はなにも………」
夕美がこうなる前に、何かするべきだった。
もっと早く気づいてれば………。
「今日は遅くまですみません。お邪魔しました」
玄関先まで見送りに来た夕美の母に振り返って言う。