隣の仲介屋
あたし達はバス停に向かって歩きだす。
付き合い始めて二週間。
あたし達は毎日一緒にバスで帰る。
陽の家は、あたしの乗るバスで更に二十分行ったところにあるらしい。
「ねぇ弥殊ってさぁ…」
陽があたしのあげたジュースを飲みながら言う。
「前確か、バスケしてたんだよな?」
「うん、下手だけど」
あたしが答えると、陽がポケットから紙を取り出して渡す。
『夏合宿女子マネージャー急募』
「何これ?」
あたしが聞くと陽が微笑みながら答える。
「男女合同合宿の臨時マネージャー。毎年探すんだ、この時期」
…ふーん。
マネージャーか。
バスケを見るのは好きだし、マネージャーって一回やってみたかったなぁ。
「その合宿二十日もあるわけよ。その間弥殊に会えないのきついし」
陽が笑って言う。
陽はこうやって、照れもせずに本音を言う。
いつもすごいなって思うんだよ、そういう所。
「やってみる」
あたしが答えると、陽はやったってまた無邪気に笑った。