隣の仲介屋
「今日の紅白戦で何か気付いたことない?マネージャー」
一週間ぐらいした頃。
男女合同ミーティングで、この前の子の一人が言う。
あたしが何も言えないだろうって顔で。
「えっと…女子は後半のシュート率の低下。男子はパスミスが増加。何か気になることがあれば記録してるんで聞いてください」
あたしはノートを握り締めていった。
「ちょっと見せて」
そう言って、ノートを取ったのは羽月。
真剣な顔でページを捲る。
「聡美。あんたのことも…皆のこと毎日かいてあるよ」
そう言って羽月がこの間の子…松井さんにノートを渡す。
少しでも役に立ちたくて、毎日書いた。
家に帰ってから一人一人のよかった点と課題をまとめて。
「何か色々言ってる人いるみたいだけど」
羽月が厳しい表情で言う。
「つまんない事言ってないで練習に集中してこ?」
松井さんは、あたしのノートを見つめながら俯いた。