隣の仲介屋
皆のキモチ
「ごめんね?」
いつものコップ洗い。
違うのは、隣に松井さんがいること。
「あたし実はさ、中谷君が好きだったんだ」
松井さんが唐突に言う。
「でも、あんただから…弥殊だから諦められる」
そう言って、少し涙目の松井さんは笑った。
あたしは何も言えずに、ただ見つめた。
「ほら、早く終わらせよ?中谷君待ってるんでしょ?」
…何だろう。
何かが胸に突っ掛かる。
今までも周りの人に、悲しい思いをさせたのだろうか。
誰かを選ぶことは、誰かを選ばないこと。
前に何かで見たことがあるけど。
いつもいつも、選んでは替えるあたしは、これでいいの?