隣の仲介屋
コンコンと、窓が音を立てる。
あたしはいつも通りに窓を開けた。
「ノート見せてよ」
晋ちゃんが言う。
あたしは黙ってノートを差し出す。
晋ちゃんも黙ってノートを読む。
しばらくして、晋ちゃんは笑顔で言う。
「さすが弥殊だね」
ノートを指差して。
あたしは首を振る。
さっきから、聡美の表情が頭から離れない。
「…何かあった?」
晋ちゃんが心配そうな顔できいてくる。
「晋ちゃん」
ゆっくり口を開いて言う。
「あたし、陽と付き合ってていいのかな?」