隣の仲介屋
合宿前日の練習も終わり、明日からの準備に入る。
「樋脇さん、倉庫からボールケース取ってきて」
男子のキャプテンに言われて、倉庫に向かう。
あれ?倉庫開いてる。
誰かいるのかな?
そう思いながらか近付くと、誰かの声が聞こえてくる。
何か言い争ってるみたい。
恐る恐る近付くと、はっきり聞こえてきたのは羽月の声だった。
「あんたがそんなんだったら、あんたを好きなあたしはどうすればいいのよ!?」
そのすぐ後に倉庫から羽月が飛び出してくる。
羽月はあたしに気付くと目を丸くして聞く。
「聞こえた?」
「最後の羽月の言葉だけ」
あたしがそう答えると、涙目の羽月は言う。
「そっか、よかった」
羽月に掛ける言葉が分からなくて。
去っていく羽月をただただ見送った。