隣の仲介屋
自分のキモチ
「え?なんて…」
陽が驚いた顔で聞き返す。
「陽とはもう付き合えないの」
もう一度、はっきり言う。
「何で?」
陽が聞く。
「陽のことは嫌いじゃないし、もちろん好きなの。けどそれは、陽の気持ちとは違う」
最近ずっと思ってた。
あたしだけ。
やっぱり中途半端。
「前に言ったよね?弥殊の傍にいれれば、それだけでいいって」
陽が真剣な顔で言う。
「付き合ってけば、弥殊も俺のこと好きになるかもしれない」
陽がゆっくり手を伸ばしてあたしの髪に触る。
「それに」
髪にそっと口付けて。
陽があたしの目を見る。
「弥殊が想ってくれなくてもいいんだ」
ゆっくり陽の顔が近付いてきて。
やさしいキス。
陽の気持ちがいっぱい伝わってくる。
好きだよって。
「ごめんね、陽」
涙を必死に堪えながら、言う。
もう、ダメなんだ。
あたしも皆みたいに真っすぐ誰かを想いたいの。