隣の仲介屋
痛い足と。
重い荷物。
周りは田んぼで、どの道も同じに見える。
皆待ってるのに。
玉葱なしのカレーなんて美味しくないのに。
あたしは何してるんだろう。
ついに疲れて、座り込む。
「誰かぁ…」
俯いて吐く弱音。
捜しにきてくれないかな。
見つけてくれないかな。
「晋ちゃん…」
涙がこぼれた瞬間に、口にしたのは晋ちゃんの名前。
そして気付いたのは、自分の気持ち。
隣にいるのが当たり前で。
今になって気付く気持ち。
晋ちゃんの好きな子が気になったのは、晋ちゃんのことが好きだったから。
叶わない恋なのに。
気付かなければよかつた。
より一層涙が溢れる。
晋ちゃん。
今、あたしを捜してくれてる?