隣の仲介屋
「おはよ、弥殊」
靴箱の辺りにはいつもの生徒会のメンバーが立っている。
暑い夏も、寒い冬も。
雨の日には傘さして。
そんなメンバーの中心に、あたしの親友の羽月はいる。
十数年ぶりの女会長は、頭が良くて、スポーツ万能。
おまけに性格良いから、非の打ち所がない。
羽月に挨拶を返して、靴を履き替える。
そのまま教室に向かおうとすると、何かが引っ掛かる。
「ごめん、今取るから」
言われてみてみると、あたしの鞄のキーホルダーが、その人のボタンに引っ掛かっていた。
その人は丁寧にチェーンを外すと、笑顔で言う。
「はい、取れた。ごめんね樋脇さん」