隣の仲介屋
晋ちゃんがそう言って立ち止まる。
あたしは仕方なく晋ちゃんの方を見る。
「そいつは弥殊のこと、他の誰よりも好きなんだ」
晋ちゃんが夜空を見上げながら言う。
誰よりも、あたしは晋ちゃんが好きなのに。
晋ちゃんの鈍感。
「付き合ったらきっと幸せにしてくれる」
あたしは晋ちゃんの隣にいれたら、大満足だよ。
「弥殊のこと好きすぎる癖に、自信無くて逃げてるけど」
晋ちゃんが笑う。
あたしはその笑顔に弱いんだ。
「誰よりも長く弥殊を想い続けてる」
あたしは晋ちゃんのことが、きっとずっと好きだった。
気付いたのは遅かったけど。
誰よりも晋ちゃんを好きだって言えるよ。
だからもう、そんな話はしないで?
気づいてしまったから。
晋ちゃんから男の子なんて紹介されたくない。