隣の仲介屋



「小さい頃からずっと弥殊が好きだった」


あたしの目を真っすぐ見て、晋ちゃんがはっきり言う。


「え?」


そんな言い方したら、びっくりするじゃん。


そう思いながら聞き返すと、晋ちゃんが続ける。


「男子バスケ部で、弥殊の隣に住んでる海陸晋一君」


「え?」


目を丸くして、晋ちゃんを見る。


晋ちゃんはいつもの笑顔で言った。


「超オススメ物件」


涙がまた溢れる。


あたしは誰よりも晋ちゃんが好きで。


晋ちゃんは誰よりもあたしを好きだといった。


「好きだよ、弥殊。誰よりもきっと」


晋ちゃんがあたしに向けて最高の笑顔をくれる。


あたしは泣きながら笑った。


そして伝える。


「あたしも晋ちゃんが好きです」


初めて言えた自分の気持ち。


夏の満天の星空の下。


晋ちゃんと初めてのキスをした。













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