隣の仲介屋
「晋から聞いてる?」
中谷くんがあたしの顔を覗き込んで聞いてくる。
「うん、まぁ」
あたしがただそうとだけ答えると、中谷くんは微笑む。
「やっぱりいいな、樋脇さん」
「は?」
突然の発言に思わず聞き返すと、中谷くんが言う。
「見た目と違ってさばさばしてるよね。モジモジしたりしないでさ」
…言われてみればそうだけど。
小さい頃から何でも一人でしちゃってた。
周りの大人にはしっかりしてるって言われてきた。
女の子の集団でトイレに行くのは嫌いで。
嫌な事は嫌だとはっきり言ってしまう。
晋ちゃんがいつも男を紹介してくるから、告白ってのにも慣れてしまった。
あたしはそんな自分を可愛くないと思うけど。
「いい返事待ってるね」
中谷くんは笑顔で手を振って行った。
類は友を呼ぶ…なのかな?
晋ちゃんと雰囲気が似てると思った。