隣の仲介屋



今までと同じ。


彼氏はこれまで何人もいた。


晋ちゃんがいつも男を紹介してくるから。


いつもいつもいい人ばかりで、断るのはおかしいぐらいで。


けど実際付き合うと、やっぱり好きにはなれなくて。


申し訳ないと思いながらも別れを告げる。


好きって気持ちが分からない。


どうすれば好きになれるかも分からない。


いつか分かるのだろうか。


「次は好きになれると良いな」


武田は優しくそう言って、あたしに小さな飴をくれた。


恥ずかしがり屋の武田の、不器用な優しさ。


あたしはその飴を口に含む。


甘酸っぱい苺飴。


武田には似合わない気もするけど。


彼女のためだろうか。


口一杯に甘酸っぱさが広がった。










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