★FAN★
‡ライズ‡


白い癒しを齎す光の粒が、じわじわと身体に注ぎ込まれた。リルは治癒の魔法を扱えるようで、これは戦いが長引いても多少無理がきく。


「ありがとう、リル。

ヤンクス、今度はこちらから仕掛けるぞ!!」


あぁと頷くヤンクスは、少し時間を稼げとリオンに言う。どうやら何か手段があるらしい。


リオンは着地したラジャスに先手を打ちに、剣に火を操り、灯る焔で数回連続の突きを繰り出す。


†緋啖煉焼†



斧で受け止められた最初の数発を受けると、後ろに身を退き、攻撃をかわしたが、掠った焔が身体に灯り、ババッと手で火を消すまでは、身体を焼き焦がした。


「いい技といえよう。焔の使い手よ。だがな、久々の戦い、もう少し我を楽しませい!!」


ラジャスが姿を消す。先程より強くなった闘気がなければ、その攻撃には気付かなかったはずだ。

圧力で動きが鈍くなるような、それほど凄まじい闘気。

上だという勘が身体を上空に飛翔させ、剣を振り切った。音と、金属同士のぶつかりによる火花が散る。受け止められたのだ。

滞空力がラジャスの方が高いために、こちらの方が体勢を早くに崩した。その隙が、恰好の的となってラジャスが斧を振りだし、リオン目掛けて落としかかった。



(まずい、やられる!)


だが、今の体勢ではそれを受け切れる程の実力は持ち合わせてはいない。

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