★FAN★
力に溺れたリオンはその後も暴走をし続け、周りの総てを焼き尽くす衝撃を放つ。

巻き込まれたリルは悲鳴をあげて吹き飛ばされた。魔力の防壁を反射的に張ったために、勢いだけで受けたが、リオンは第二撃を放つために周りの焔を自分に集める。


「リオン!リオン!自分を取り戻して!!」

肩を持って必死に身体を揺する泣き顔が、きっかけとなったのか、集めていた焔は拡散し始め、リルの頬に手を触れ、親指で涙を拭う。

「………リル、ごめん。力を求めた代償みたいだ」


リルに身体の全てを預けて、急激な力の消費による呼吸の乱れを治そうと努力する。

歩ける程度の力が戻ると、徐々に弱まる解かれた力の扉を閉めて、リルから身体を放した。



「リル、リルがいてくれて助かったよ。一人でこの旅を始めたら、力に飲み込まれて暴れ回ってしまっていた」

「役目を…見付けた」

「え…?」

「なんでもない」


二人は一度その場から離れて、魔物達の気配が無い場所で身体を休め、もう一度湖に戻った。


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