溺愛プリンセス~最強Boysに愛されて~2
「──まったく、ズルいんだよね、雅は」
類が不貞腐れたようにそう呟いたのは、姫の劇の、当日だった。
結局、王子役にすりかわるのは、雅になり、それからというものの、類はどこか不機嫌そうというか、拗ねたようで。
いつもニコニコしてて、冷静沈着で、何考えてんだかわかんないような類が、こうも明け透けに自分の感情を表情に出すなんてことは珍しくて、それだけ姫の事になると抑えが効かないんだろうと思うと、胸がチクリと痛んだ。
それが嫉妬だなんてことは、もうわかっていた。姫が好きだと言うことを公言すら出来ないくせに、いっちょまえに嫉妬はする。……本当に、呆れるほど情けない。
類はステージを見つめながら、少し苦しそうに眉を潜めた。
「あんな時だけ、あんな風に微笑むなんて、本当に雅には敵わないよ」
あの自信に満ちたような雅の微笑みに、誰も異をとなえることなんて出来なかった。
俺達は、雅には抗えない。