悪魔ニ花束ヲ
灰原千景はクと目を細めると「当たり前。俺を何様だと思ってるわけ」と一言。ええ、勿論ちぃ様ですよ。
「だけど左足庇ってましたね。まだ痛みますか。ここで無理しても格好良くないですよ。勿体無いんで大事にして下さいね」
確か、足の怪我だったと聞いたけど、長い病名だったから覚えてない。
「…何で分かった?」
低い声はいつもより控え目に響く。なんで?と言われても、
「すいません。友人に怪我の事聞きました」
なんだ、この不穏な空気。言ったら駄目だったパターンですか。
「違う。」
「え?」
「庇ってた?」
真っ直ぐにあたしを見る目線は射抜かれそうで、怖い。まだ死にたくないですが、なにか。