悪魔ニ花束ヲ
たったそれだけの事をいうのにこの甘い空気はなんだろう。灰原は変だ。何故あたしにこうも構うのか。

あたしが次の言葉を探して視線を落とした時、

「灰原さんっ!!」

甲高い黄色い声。振り返れば、2、3人の女の子。一瞬だけ、灰原がチッと舌打ちをした。本当に一瞬だけ。その後は、いつもの王子スマイル。

「やっぱりそうだ!偶然ですね!嬉しい~!!お散歩ですかぁ?」

キャピキャピしながらメイクばっちしのその子達は灰原を囲む。灰原は「今日は気持ち良いね」とか爽やかに答えている。

いつもながら、見事な被りっぷり。

< 33 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop