悪魔ニ花束ヲ
「あたし達も一緒に行っていいですかぁ?」

上目遣いに見るヒラヒラした服を着た女の子。ナチュラルなメイクが好印象。こちらをチラリとも見ない。
灰原は当然イエスと答えるだろう。で、例の如くあたしは速やかに壁、もしくは空気と化していつの間にかいなくなればいい。


そう思ったのに、


「今日は、間宮さんと一緒だから。ごめんね」


おおお、ここにきて初めてあたしの名字が!!!


「えぇー、なんでぇー」

甘ったるい声は、僅かに膨れた頬と共に不機嫌を装う。女、って生き物は姑息だ。



いや、



「邪魔すんなよ。うざい」



キラキラする綺麗な微笑を駆使して、サラリとそんな暴言を吐く、充分姑息過ぎる男がここにも。

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