悪魔ニ花束ヲ
何だかな、いまいちこの人が掴めない。いや、掴んでしまえば多分引き返せなくなる。だけどもう、平凡の言葉が似合うのはあたしだけで、あたしの状況は決して望んでいた平凡ではない。


「他の女性との口付けの後に口直しなんてデリカシーないですよ。それでも王子ですか。ああ、魔王ならそれも有りかもしれませんが、私は普通の人間ですので理解出来ません」


息継ぎもしないあたしの言葉に灰原は瞬きもせず、固まっている。


光に透ける茶色の髪は染色を感じさせないから地毛なんだろうけど、嘘みたいに綺麗だ。手入れしてるのか、絶対してないな。羨ましい。




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