悪魔ニ花束ヲ
それが、一週間前の話になってしまった今日。空は快晴。あの日が嘘のように、あれから雨は降らない。そして、何度か天気の良い日にあの喫茶店を探したけど、見つからないというファンタジーな展開。なんですか、これは。夢ですか。
そして、
「花、君ってノロマだよね」
すでに親しか呼ばなくなった名前をあっさり呼ぶ男。────端正な顔立ちに低い美声。サラサラの髪が光に透けて目が痛い。誰が何といおうと、世間に完璧に認められた美形、灰原千景。
「…名前で呼ばないで下さい」
というか、ドぶす返上ですか。いやいや、返すつもりはありませんよ。割にもあいませんから。周りの視線が遠慮なしにあたしのガラスのハート突き刺さってますよ。