悪魔ニ花束ヲ
放課後、晴れた空が僅かに曇り始めたから、雨が降るかもと淡い期待を胸に図書室で時間も忘れて本を読みふけっていた。そんなあたしの目の前には、部活動を終えたばかりらしい灰原千景の姿。その垂れ流しのフェロモンと見上げる身長に、大人と子供のような錯覚をして地団駄を踏みたくなる。
「帰るよ」
いえ、お構いなく。
「は?君に拒否権も選択肢もないから。出来るのは従う事だけ、分かる?」
…そうですね、あなた様は最強の俺様何様魔王様ですから。
内心で悪態をつきながらも、この男に慣れてきた自分が恨めしい。