エンドロールを永遠に
「絵莉花、ご飯いこう」
『はーい』
「ひゅー!お熱いねー!」
『うるさいよ!』
お昼。
いつものようにゆうくんが私の席に迎えに来る。それに友達が冷やかしをいれてくるのも、もう見慣れた光景だ。
そんな友達に手を振り、私はゆうくんと並んで空き教室へ向かった。
誰もいない空き教室でお昼ごはんを二人で食べる。これも日課だ。
『いただきまーす!』
ゆうくんの顔を見ながらお昼なんて、他の子には出来ない事だから少し嬉しい。
「んだよ、見んな」
『いてっ!』
ゆうくんは私の顔を指で軽く突いて、ぷいっと顔を逸らした。
『かーわーいーいーっ!』
きゃーっと笑えばゆうくんも微笑んでくれた。
「ばか、それはお前だろ」
『うるさいよっ!』
「はいはい」
ゆうくんが何の惜しみも無いように恥ずかしい事を言うから、私は照れ隠しに箸で卵焼きを刺した。
『ゆうくんさ……、恥ずかしくない?』
卵焼きをちびちび食べながらゆうくんを見た。
「そうだな……、ここには二人しかいないから」
ゆうくんが売店で買ったであろうお茶を飲みながら、微笑んだ。
『そっか。ふふっ。』
「なんだよ」
少し耳が赤くなっているゆうくんを見て、なんだか嬉しくなった。幼馴染みではない恋人の時間。
『あのね、嬉しいっ!』
そういって抱き付くと、ゆうくんは頭を撫でてくれた。
「そーかい」
『うんっ!』
こんな幸せが続いてほしい。
ずっとゆうくんの隣に居たいな。
「よし、早く食べろ。時間がねぇ」
『あ、うんっ!』
ゆうくんが体を起こしてくれたから私も急いでお弁当を食べようとした。
「お前が作ってんのか?それ」
ゆうくんが私のお弁当を指差した。
『ああ、コレ?お母さんだよ』
お弁当のミニトマトを食べながら私は答えた。
「だろうな」
『ちょっと、どういう意味……、ゴホッ!ゴホッ!』
即答してきたゆうくんにムッとして言い返そうとしたら、喉に違和感があった。
「んだよ、大丈夫か?ったく、この前も詰まらせてただろ」
『うるさいなぁ~』
最近喉に違和感がある。
よく急ぎ過ぎて喉に詰まらせて、ゆうくんを心配させてしまうけど、私にとってはそんな些細な心配ですら嬉しいものだった。
「ほら、食えよ」
『うん!』
このときの私は何も知らなかった。
だって考えた事も無かったから。
「行くぞ」
私が食べ終わると、ゆうくんは私の手をぎゅっと握った。
『ゆうくん?』
「んだよ」
振り向かずに前に進むゆうくんを見て、思わず笑ってしまった。
『大好き』
貴方が好き、大好き。
だからずっと一緒に居てね?
この幸せがずっと続きますように。