初恋は雪のように溶けて

「…はぁ?」

他校の男子はかんに障ったようで、さっきとは大違いな低い声を出す。

「だから、さ」

優しい声の男子は鋭い瞳で

「その手を離せ、って言ってるんだよ」

そう言うと、他校の男子の腕を掴み、
ギリギリと音を立てながら私からその腕を離す。

「いっ…」

他校の男子はうめき声をあげる。

「…ほら、こっちのことはいいから、早く行って!」

と優しい声の男子はこちらを見て言う。

「…で、でも…」

「いいから!」

奈美と彩華に行こうと言われ、私はその場を離れた。

…あの優しい声の人、大丈夫かな…?
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