初恋は雪のように溶けて
「じゃあそれだけだからそれだけだから!」
と言って、あの人はこの場を去ろうとする。
「…っあ、あの…!」
…え?
私は声をかけるつもりなんてなかったのに、なぜか声をかけてしまった。
えーと、えーと…どうしよう…あ…!
「あの、助けていただいたお礼をしたいのですが…!」
私がそう言うと、あの人はまた笑顔で
「そんなのいいよ、俺が助けたかったから助けただけだし」
「でも」
「白石さんが無事なら、それでいいんだよ」
…あ、また胸がドクンっていった。
初めての感覚で、何で胸がきゅーって苦しくなるのかはわからなかった。
でも、なんだか少し心地よかった。