紅蓮の炎
近いうち、ぶつかるかもしれないな。
数週間前、総長が困ったように笑って言ったことが当たった。
準備していたとは言え、急だった
夜中だというのに辺りはバイクや車のヘッドライトで煌々と照らされ、挙句にそこら辺では火の手が上がりとても明るく、悲惨な状態だった
北は、俺ら龍神連合でも太刀打ちできないでいた。
まだまだ人数で圧倒的な差があるからだ。
どこからそんな人数を掻き集めたのか、それを問いただしたくなるくらいのおぞましい人の数だった
「右にまわれ!!」
幹部見習いの雄が遠くで指示を飛ばしているのがきこえた。
その他にも同じく幹部見習いの瑠衣や克也、夏も後ろに仲間を引き連れて戦っている。
同じく俺も幹部見習いの立場で最前線に立って戦っていた。
こんな大きな抗争は実質俺達は初めてだったと思う。
龍神連合が出来てからちょくちょくぶつかってはいたが、こんな全面戦争は連合としても初めてだったようで、その上想像を絶する数の人を向こうが揃えてきたためこっちが劣勢なのは火をみるより明らかだった。
「クソッ」
総長が小さくそう吐き捨て、情報収集にたける副総長に訊ねる
「パンサーは?!」
「もう直ぐ到着する予定だ!!」
この時の俺は龍神の5トップしか知らない言い伝えを知らない為、
パンサーを最後の希望かのように待つ総長達が理解できなかった。
確かに力不足だが、それでも次の5トップになる自分達よりも、
70という少数で実力も知れず、おちゃらけていて、決して静かとは言えないのにどこか謎を感じさせる雰囲気を纏う…
自分と同い年なのに既にトップに立ち、仲間をなんだかんだ言いつつも統制する大悟。
大悟には嫉妬していたのかもしれない。
同じなのに、どこか自分と違うと感じさせるものが分からなくて、
だから同時に苛ついていたのかも知れない。
ふらふら、へらへら、のらりくらりとしていて総長らしいこともせず、小学生みたいにいつもパンサーのメンバーと馬鹿みたいなことばっかりしてて…
本気を出さない大悟にイライラしていたんだと思う。
だから昔、俺は大悟が大嫌いだった
今も嫌な奴だが長く話してみると案外そうでもなく気が合うやつだった。
まぁそれも今だから、の話だがな