紅蓮の炎

「…約束？」

「それもまた、お前らの代の時に言う」


小さく呟いた俺の言葉に総長は振り向きすまなさそうに言った。
総長は優しい。
だからこうやってよくすまなさそうな顔をして謝る。

俺はかぶりをふる


「いいんです
その時が来たら言ってください。」

「もちろんだ」


そう言って優しく笑う総長を確認して、


「…ちょっと行ってきます」


もうバイクに跨りマフラーをふかしている集団を見ながら言う。
総長が頷いたのが分かった


直ぐにでも走り出しそうな背中に声をかけると
英人と一つ二つ話し、大悟が振り返る。
その間に健太と大悟を残し、パンサーは全員轟音を奏で、帰って行った。


「今日はありがとな」


追いついた俺は大悟に声をかける。


「いや〜、そんなん気にしとらん」


端整な顔からは真逆のゆるゆるとした声音で話す。


「俺は助かったから」

「そおか、
まぁ助かって良かった良かった。
足大丈夫なん？」

「腫れてるだけ」

「………丈夫な足しとんやなぁ」


確かに、
ほんの少しでも回避できたとはいえ手加減無しで全体重かけて踏みつけられたから、
折れててもおかしくはないのかもしれない。


「ほな、俺らは帰るさかい」

「じゃあな、響。
腫れてるならちゃんと冷やせよ？」


大悟と健太の声に頷き見送る。

2人はネオン煌めく中央町の中へ紛れ込んでいった。


「ビックリだったね」


まだ2人の去った方を見つめる俺の背中に雄が声をかけてきた。

目だけでみやると、
雄も俺と同じように2人の去った方を見つめている。


「…そうだな」


それだけを答え、戦闘の後片付けをする連中を手伝いに向かう。


辺りはいつの間にか救急車やパトカーまで着ていた。


そして、