紅蓮の炎
南町からわざわざあたしらが出てまで殴り込みに行くのはもしかしたら初代以来かもしれない。
それほどずっと南は平和だったのかな。
ここ最近、ずっと北からちょっかいをかけられていた。
なんとか被害が出ないうちに追い返していたけど向こうも色々味をしめたのか南町に来る頻度や仕掛けてくる物事のえげつなさが格段と上がってきた。
そしてとうとう数日前、被害が出た。
窓ガラスが割られたその家にはその時間帯、妊婦が1人居るだけだった。
家中物色され妊婦も暴行を受けた。
幸いにもたまたま通りかかったパンサーの面子の子達が妊婦の叫び声に気づいて家に飛び込み妊婦を保護してくれた。
連絡を受けて紅蓮が駆けつけた時には妊婦は酷く怯えていて、至急旦那さんを呼び、町医者に連れて行ったりと奔走した。
母親もお腹の子も無事だった。
良かった…
ほっと胸を撫で下ろした
そろそろ頃合いだ。
誰かがそう言った。
今まで野放しにしていたが、そろそろ堪忍袋の尾がもう
はちきれそうだよ
と。
異論は無かった。
行動も早かった。
もとよりあたしらは血気盛んな奴等だ。
殴り込みにいくなんて、
血が騒いで血が騒いで、
興奮してきて仕方がなかった。