紅蓮の炎
岩島は40代くらいの中年の男。
でも体を鍛えているのかスーツの上からも引き締まった体躯がよくわかる
顔も厳つく、刑事の仕事についていなっかったら確実にヤのつく自由業だと思われていただろう。
今まで一人で行動していたのに辻霧という新人のイケメンが入った。
辻霧が入ったのは去年辺り。
中央警察署に入ったばかりなのにすっかり岩島に洗脳され今じゃこの街で不良の間で有名な最強…、
いや、
最恐タッグを組んでいる。
「ねぇ」
一華が妖しい笑みを浮かべる
早速悪い予感しかしなかった。
「せっかくだし挨拶していこうじゃねぇの」
ほっといても色気の漏れ出る一華は艶やかな長い金髪を指に絡め重たくそういった。
それをきいた優芽も可愛らしい顔をにんまりとさせ
「いいねぇ~」なんて便乗する。
無論海子もお菓子を食べながら頷いた。
あたしは「はぁぁぁぁぁ」と重々しげに溜め息をつき、美琴を仰ぎ見る。
日本美人と囁かれる美琴は短い黒髪を耳にかけながら
「そう言うと思ってそのルートも考えておいた」
その言葉に思わず顔がにやける。
「さすが美琴ちゃん!」
海子の言葉にあたしも頷く。
さすがはうちの参謀だ
紅蓮は一度走り出すと勢いに乗って走ってしまうため上手く統率がとれなくなる。
そうならないように美琴があらかじめ走るルートを決め、紅蓮メンバーはそれを頭にいれておく。
美琴は一不良校の南紅高校から有名な大学に余裕でいけるだろうと先生から期待される優秀な生徒だ。
この街で一番偏差値の高いと言われる中央正鈴高校で主席をとれるとも言われるほど賢いのだが、本人はそんなものになど目もくれずあたし達と一緒にいる。
そんな頭のいい美琴が練ってくれる案は全て効率よく、なにより放っておけば無茶ばかりする紅蓮メンバーを考慮し、安全さを重視したかたちともなっている。
「じゃあ、今回の走りは北町まで。
集合場所はいつもの溜まり場で時刻は6時ね」
最後に美琴が話をまとめ、紅蓮のみんなにメールで一斉送信する。
美琴が作業を終了させる。
あたしの作文が書き終わると
「んじゃあ帰るとしよっかぁ!」
優芽が伸びをしながらあたしの前の席の机から飛び降りる。
「ちゃっちゃと杉田に提出してアイス屋寄って帰るよ」
一華も妖艶な動きでゆっくり立つ。