君と歩く

「…薫さ、何してるんだろうね。
鈴木ちゃん、ごめんなさい。」

深々と頭を下げて謝っている。
俺と都美と竜樹たちは、その姿を呆然と眺めていた。

未紗ちゃんは、罵るのだろうか。
どうしてこんなことするんだって。

薫も、そう察したのか、口元をきゅっと結んで、目に涙を貯めている。

でも、未紗ちゃんが発した言葉は、
予想を反していた。

「…薫ちゃん…?あの…私なら大丈夫だよ!何が起こったのか、あんまり覚えてないけど…。服、着てないし、そーゆーこと…されたってこと…かなぁ…」

にこにこ笑いながら話しているけど、頬には涙が伝っている。 

薫に心配かけたくなくて、無理に明るく振舞っているのが、痛いほどわかる。


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