君と歩く

さっきの大きい声とは全然違う小さな声で、都美は謝罪の言葉を口にした。

小さかったけど、未紗ちゃんにも、俺にもその言葉はしっかり伝わった。

あいつが、謝るなんて。
未紗ちゃんの笑顔にやられたんだな。

「ふふっ。声が小さいですよー!でも、ちゃんと聞こえました。さっきは怖かったけど…。黒原くんのことが大好きなんだったら仕方ないなぁって思ったっ!」

にこにこと笑って手をふる未紗ちゃん。

「…やっぱり鈴木の馬鹿女じゃない…」

そういった涙に濡れた都美の笑顔は、
とても、美しかった。

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