君と歩く
さっき、荒川くんは、『俺の一方的の片思いだから』って言ってた。
ねぇ、それって。
私の事好きって言ってるの…?
その話をするのだろうか。
いや、ただ単に奈々子さんをからかおうとして言ったのかもしれない。
そう思っていたけど…。
「俺、未紗ちゃんのこと好きだよ」
歩いていた足を止めて、私の目の前に立つ荒川くん。
少し遠慮がちに、私の顔を覗きこむ。
その時の荒川くんの顔は、少し不安そうで、そして、悲しそうな目をしていた。