シークレットプリンセス〜玉城敬太編〜
「…。」
敬太さんは
驚きながらも笑ってくれる。
「ありがとう。」
私は
なぜありがとう。と言われたのかが分からなかった。
それが明らかになるのは
彼が心を私に開いてくれる時だろう。
と思った。
「荷物まとめました。」
「分かった。
戻ろうか。
ホテルへ。」
敬太さんが
ニヤリと笑う。
嫌な予感しかしない。
「男女がホテルって。
分かるよね?」
「芦川さんに頼んで
部屋用意してもらいます。」
「釣れないな…。」
彼はそう言うと
私の手を繋ぎ部屋を出た。
なぜかその時
手を振りほどくことはできなかったのを今でも覚えている。