煙草味のキス。
「まぁ、今こっちに向かって帰ってきてるから逃げるなって」
「…本当勝手な所変わってないわね」
「………なぁ、和子」
「何?」
「ちゃんと決着つけろよ」
「決着は2年前にしてるわ」
「じゃあ、和兄が吸う銘柄を見ながら悲しそうな表情するのはやめろ」
無意識だった。
「あたし…悲しそうな表情してた?」
緑に言われるまで気づかなかったなんて…。
「吸ってる奴見ると悲しそうな…辛そうな表情してる」
「…そう」
「だから、和子。ちゃんと和兄と会ってすっきりさせろ」
「だね…」
「すっきりさせて、そんで……いや、何でもない」
「……意味分かんない奴」
緑に笑みを向けながらレモンティーを持っている左手を優しく撫でた。
大丈夫…ちゃんと緑が伝えたかったことは充分伝わったよ。